父とチーズケーキ - 日々のこと。

5月31日は父の誕生日。

前日に入院中の父になにが食べたいか聞くと、
「チーズケーキ」と答えた。

当日、母がコミベーカリーのチーズケーキを買ってきた。

母は約10kmの道を自転車で持ってきたので、
箱を開けると少しななめになったケーキが出てきた。

父の病気は筋萎縮性側索硬化症、
通称ALS といわれる難病で
身体が少しずつ動かなくなる病気。
最近の食事は朝昼晩、フルーツとジュース。

ケーキも一口くらいしか食べられないだろうな。
でも一口でも···。
母とも事前にそう話していた。

けど、実際は····。
一口、二口、三口、····。
あれ？結構食べる。予想より相当食べている。
それもかなりのペースで。
モグモグと食べたかと思うとすぐ口をパカッと開け、
次の一口を待っている。
食べさせている母の手が間に合っていない！
時々顔を上げ、目をつぶり、「あ～おいしい」と
小さく呟いていた。

そして、なんと一切れ結局全部食べてしまった！
私も母もびっくりしてしまった。

もう長くないと言われている父の
これが最後の誕生日だと思うと、
涙が出そうだった。

余ったら分けてもらおうと思っていたので、
食べそこなってしまったが、
それよりなにより父がこんなにもおいしいおいしいと
食べてくれたことが嬉しかった。

買ってきてくれた母に感謝！
こんなにおいしいチーズケーキを作り続けている
コミベーカリーさんにも本当に感謝！

そして身体が動かないのに元気な姿を私たちに
見せてくれた父にも感謝です。

お父さん、ありがとう！